2014年2月27日木曜日

掛け替えのない弟の死29

 弟の部屋に入った。
 洗濯物を見つけた。
 母が「他のことで自分で、やればいいと言ったのを洗濯物だと思ったみたいで、それから自分でやっていた、ごめんね和也」と泣く。
 「最後の洗濯物になっちゃった」と泣く。
 胸が詰まる。


 今日は父が好きな写真と言って、引き伸ばしを依頼された写真を届けた。
 目が笑っているいい写真だった。

 だいぶ前の写真だが、今の様子と変わらないと思った。
 けれど、近くで見たのはいつが最後だったのかと思う。

 隣に居ても、じっと見ることはできなかった。
 けれど、声を聴き存在を感じ、この時が幸せだと思えた時間だった。

 もう戻らない。

 

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