河合隼雄さんと小川洋子さんの対談集。
東日本大震災以来、被災地の子供達の姿を映像で見るたびに、河合さんが生きていたらなあーと思う。
大きな指針を授けてくれたのではないかと思うから。
そんな思いの中で、この本を読んだ。
実際には、2007.7.19河合さんの急遽で対談は途中で終わってしまっている。
高校の数学教師であった河合さんが『博士の愛した数式』の映画を観て関心を持ち、対談の機会が出来たと小川さんが書いている。
主人公の少年の《ルート》という名前の意味を読者である河合さんから指摘され、「そうかもしれない」と感じる作者である小川さん。
作者が行き当たりばったりに選んだ《ルート》という名前に、〈根と道という意味合いを兼ね、博士と1つの根を共有するように友情を結び、大人達の閉ざされた境界に道を開く役割を果たす〉
そこには、物語の持つ力があると2人は確信している。
作者が紡ぐ〈どこかの誰かの物語〉の中に読者が意味を見つけ、身体と精神・外界と内界・意識と無意識を結びつけることで今を生きていけるのではないか。
《物語はそこにある》
河合さんは「子供というものはすごいんだ」といつも言っていた。
そんな河合さんだから、大震災で傷ついた魂に寄り添い、子供達に語りかけて欲しかった。
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