2013年5月6日月曜日

天翔る


 村山由佳さん
 乗馬耐久競技(エンデュランス)という競技をめぐる人間と馬との関わりの世界。

 様々な過去や苦い思いを心に抱えた人々の回復の途上が描かれているように感じた。

 逢いたくても逢えない人がいる。
 この世界では誰もが経験するだろう。
 届かぬ思いをどうしたらいい、そんなせつない胸の内を分かり合える人が身近にいることへの感謝を思った。

 その人を忘れないことが、生きている私たちに出来ること。
 
 忘れたい過去から逃げられないでいる人。
 誰にもわかってもらえない、知られたくない過去にうなされる日々。
 話して楽になるならば誰かに話せばいいけれど、話すことが全てではない。
 経験しなくてもいいことを経験してしまった人がいる。
 わかってほしい気持ちと、他人になどわかるわけがないという気持ち。
 何かに変えられないだろうか。
 私自身もまだ変えられないけれど、過ぎた日々の中で、振り返り「馬鹿モノ」とじぶんに投げかける言葉の強さは弱くなっていく。

 「馬鹿モノ」の自分は未だに生きている。
 それでも、大切なものに出会い、自分の愚かさを今でも反省し、忘れたくない事を忘れず、生き続けている。

 知らない世界はまだまだたくさんあって、愚かな自分に出会う人生の旅はまだ続いている。

 自分の周りにいる人達を大切にしていこうと思えた。

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