2010年11月8日月曜日

大いなる暗愚

 藤原正彦さんのエッセイは面白く楽しい。
 これは週刊新潮連載のコラム集。

 藤原家の子育ての著作を持つ美しい奥様の、この本における毒舌さながら、ご本人の自己表現の文章に抱腹絶倒しながら読み進める時間の楽しさで、一気に読み終わりました。

 「書くことは考えること」なのだ。カツンと本質にぶつかった時は幾何の問題でうまい補助線を引けた時のようにうれしい。・・・・・・とある。数学者らしい表現で思わず頷いた。

 初めて餃子を食べた高校2年生。そこから餃子が古今東西の料理中最高と思う生活に入り、奥様との初デートに餃子を選び、餃子の焼きあがるまでのつけダレの準備に奥様が感銘をうけたらしく、求婚に応じてくれたとする「用意万端を怠らない周到さ、食物に対する底深い愛情、なすべき仕事への驚嘆すべき集中力、などを印象づけられたのだろう。」という紹介の一文にチェック。

 口語に比べ、段違いに簡素で段違いに格調高い文語を知る幸せ・・・という一説にうなずく。

 ノーベル賞やフィールズ賞の獲得は、獲得の30年前までの教育や研究水準の高さを映しているという一説に日本のこれからを不安に思うのは私だけではないだろう。

 『国家の品格』の著者である氏が日本を憂う胸中に 私は、歴史に学ばない日本・日本の底力=文化を失うな!などを教訓として肝に銘じた。
 

 

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