2014年2月9日日曜日

弟の死16

 弟の思い出の中で時間が進んでいる。

 今日は花を買った。

 母に頼まれた。
 今まで花屋に行くことなんてなかった。

 弟の部屋から、本を持ち出そうとしたが、やめた。
 自分勝手な私が頭を出してきた。
 弟のことを考えているふりなのか。
 自分が信じられない。

 弟の車に乗る日々。
 思い出しては涙を流す自分が、信じられない。
 気持ちが動かないのだ。

 どうしたらいいのかも解らないまま。
 どうするべきかなんてもっと解らない。


 なんで死ななければならなかったのか。
 わからない。

 私はどうしたらいいのか。
 わからない。
 

2014年2月8日土曜日

弟の死15

 前へ進めない。


 何も新しいものに興味をもてないし、見る気にならない。
 

 自分がどうしたらわからない。
 

 自分のできるであろう事柄以上のことをする覚悟もないから思い浮かばないのだろうか。

 弟がいたということが薄れていってしまうのが怖い。

 何も残さずに逝ってしまった。

 映画を撮りたいと言っていた。
 

 遺された花や景色の映像を見るたびに切ない気持ちが重なって、形にできなかった弟の無念を考える。
 しょうがないと思っただろうか。
 意識が薄れていく中で、何でと思っただろうか。
 俺死ぬのかと思っただろうか。

 両親の話を聞いていると、専門職の私からは考えられない程、安易に考えていた。

 私は処置室で見た弟の顔で、すでに帰ってこないであろう事実を確信してしまった。



 弟の車に乗る。
 戻ってこない事実が胸にせまる。

2014年2月5日水曜日

弟の死14

 弟へバレンタインチョコを渡したのはいつまでだったろう。
 最近は渡すことも忘れていた。
 薄情な姉だ。

 霊前にチョコを備えた。
 今さらと思う気持ちと、それでもという気持ち。
 自己満足に過ぎず、自分の気休めだけだ。

 離れから歩いてくる弟の姿や、足音がよみがえり切ない。
 涙を流したってかえって来ない。
 それがつらい。

 幼いころの写真を出した。
 かわいい笑顔の弟がいる。
 そうか、もう君はいないのか。

 とてつもなく悲しい。

2014年2月3日月曜日

弟の死13

 携帯の写真をUSBに移す。
 弟の姿は皆後ろ向きだ。

 旅行のスケジュールが記入された紙を見直そうと思う。

 94年からある。
 急いで生きすぎた。
 乗り物の時刻もきっちり書かれている。
 同じルートを回れるくらいだ。

 後姿の弟のスライドレビューに切なくなるばかり。

2014年2月2日日曜日

弟の死12

 昨日弟の車が私名義になった。
 いいのかどうか、未だに不安だ。

 それは両親に対しての私の気持ちだ。


 弟の部屋もあのまま。
 布団も弟がめくったあの日のまま。
 どうしていいかわからない。


 弟が私に託したものは、親に黙っていられず渡した。
 よかったのか。

 混乱の中での行動は判断違いがあったかもしれないと、今さら思う。
 相変わらずの私の行動。

 きっと弟は自分で考えろというだろうなーと考えたり。
 でも、頭の良さでは弟にかなわないコンプレックス。
 分かったふりをしていた私を弟は気づいていただろうな。

 馬鹿さ加減にがっかりする。

 車、大事にするよ。

弟の死11

 母親の体調が悪い。
 血圧が上がったままらしい。
 眠前に安定剤を飲んでも眠れないらしい。

 らしいというのは、聞こえてきたから。
 私が直接聞いたわけではない。

 優しい言葉がかけられない。
 いたわりの気持ちがあらわせない。

 責める言葉しか口にできない。


 息子を突然亡くした母の気持ちが分からないのではなく、この人の気持ちに寄り添えない。

 弟が以前に言っていたが、「母が今なくなったら俺は泣く」という言葉。
 私は母親と息子の関係を複雑な思いで受け取った。

 母親と娘の関係とは違う。

 今日は私の長男が実家に泊まりに行っている。
 長男は人の心の機微に疎いが、大丈夫だろうか。
 私は自分の代わりに長男を差し出しているのかもしれない。
 

 毎日していた弟の朝と夕ごはんの支度が要らなくなった。
 これが一番実感することだろう、弟がいないことを。

 時間は解決してくれるのだろうか・・・。

2014年1月31日金曜日

弟の死10

 とうとう弟が乗っていた車を私名義に変更する手続きをした。

 実家に置いてあった車の移動は親の気持ちを考えると躊躇したが、くるま屋の後押しがないと進まなかったかも。

 実家から車屋への道のりがつらかった。
 泣くにも泣けず。
 実家に取りに行く連絡をしてあったので、想像はしていたが、車を磨く父の姿に胸が詰まった。
 父は私のために手続きを進めることを承知したのだろうし、私は父の気持ちを思い、後ろ髪を引かれながら手続きを進めた。

 くるま屋は自分の立場で急いでくれたのだと思うし、そうしなければしばらくそのままだっただろう。

 そのほうがよかったのかもしれないが、くるま屋の話ではこの時期に手続きしないと今の持ち主に税金が掛かってくるらしい。

 まわりに助けられて進んでいくしかない。

 和也のタオルを持ち帰り、思い出しては見つめている。

正欲  朝井リョウ

 >作家生活10周年の著作。  大学生作家・サラリーマン作家と言われていた頃があったなと思う。  『正欲』  読み終わり考える。  読み取りの苦手な私は何が正しいのか?  作者の意図と違う感覚だと恥ずかしいと。  明日、死にたくない人の流れに乗るために思う。  このブログも登場人...