鶴見さんと関川夏央さんの対談集。
第1章は表題。1997年3月NHK放送に加筆。第2章は日本の廃退を止めるもの。2002年12月京都での対談。
1853年を基準として、近代日本が見失ったもの、戦後体験と転向研究。
1922年生まれの鶴見さんの生い立ちから、政治家を身内に持つ立ち位置、親子関係の多大な影響、出版物から読み解く時代と個人など、私の頭では到底理解しきれない内容。
歴史上の人物に関しての細部に至る知識にまず脱帽状態。
大河ドラマや関連書物やドキュメンタリー番組からの知識しかない私には「そうなんだ」「そうだったんだ」の感嘆の思いしかない。
人間の理想に≪協和的に≫という言葉を挙げた鶴見さん。すべての日常で心して念じ続ける言葉となった。
明治国家に作られた日本という[樽]の中で育った名刺交換の好きな人たちと、個人として能力を発揮する人々との差についても「そうなんだ」と思える解説がある。
オウム事件の初期の犠牲者である 河野義行さんへは≪語り口は思想なんです≫と絶大な評価をしている。
人間としての強さが個人なのだろうか。
[1番病]・・・の弊害と題し、人間が途中ですり減る。と1番病に囲まれて育った鶴見さんはいう。
本当の知識人は東大にはいないとまで言っている。
この件、同時に読んでいる『おおきなかぶ、むずかしいアボガド』のなかで、村上春樹さんも同じようなことを書いていた。
若くして逝ったアメリカの作家の映画化への資金提供の協力に対する大規模小売り店舗を展開する企業の対応に「こんな身のない連中が文化と偉そうな顔をしていたのか。」と。
誰かの、個人としての器量が発揮される機会を待っている大衆の存在でしかない私ですが、日本のあっぱれなな個人を少しずつ本という媒介に頼りながら、触れていきたいと思いました。
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